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ChatGPTは人間と同じ様に地図を読むことは可能なのか?:2025/03/25

  • 執筆者の写真: 晋次 宮田
    晋次 宮田
  • 2025年3月25日
  • 読了時間: 6分


はじめに


みなさん、地図を見るのは好きですか?私はドライブが好きなので、GoogleMapを眺めなら


  • 次はどこにいこうか

  • このルート面白そう


とかを考えるのが楽しくて、ついつい見てしまいます。

そもそも人間は地図を見るとき、どのように地図を把握しているのか?また、LLMは人間と同じ様に地図の把握が可能なのか?について調べた研究が発表されたのでご紹介します。

この研究は、人が見て理解できる地図において、最新のAIモデル(特に画像と言語を組み合わせて理解するモデル)がどのくらい人間に近いレベルで地図を読めるのかを調査した研究です。

研究の結果、現時点で最も性能が高いとされるAIモデルでも、人間のように地図を読み、正確なルートを示すことには困難を伴うことが明らかになりました。



人間は地図とルートをどの様に把握しているのか


普段漠然と見ている地図ですが、「そもそも人間が具体的にどのように地図を把握しているのか」について、この文献では以下のプロセスを提示しています。


  1. 視覚的知覚(Perception)

    • 地図上のランドマーク(建物や交差点)、道路、エリアの形や色を瞬間的に識別。

    • シンボルやテキストを直感的に解釈(例:「M」=地下鉄、「青」=水域)。

  2. 空間認知(Spatial Cognition)

    • 自分の位置や目的地との距離や方向を即座に把握。

    • 「俯瞰視点(鳥瞰図)」を無意識的に活用し、全体像から最適なルートを推測。

  3. 文脈的推論(Contextual Reasoning)

    • 地図上で表示されていない情報を、自分の経験や一般常識に基づいて補完(例:「公園なら入口は複数あるだろう」)。

    • 視覚情報だけでなく過去の経験や記憶を統合し、目的地に至る適切な経路を推測。


これにより、人間は地図を見てから実際の行動に移るまで非常に短い時間で効果的なルート選択が可能だとしています。

言われてみればまあこんな感じで地図をみてルートを検討している感じはしますね。



AIは地図とルートをどの様に把握しているのか


ではAIはどうでしょうか?

LVLM(Large Vision Language Models)は、以下の流れで地図を理解しようとするそうです。

  1. 視覚情報のパターン認識(Visual Pattern Recognition)

    • 学習済みの画像・テキストデータに基づき、ランドマークや道路を個別に検出。

    • しかし、未知のスタイル(イラストや抽象化された地図)に対して誤認識が起こりやすい。 </aside>

  2. 言語・空間情報への変換(Visual-to-Language Mapping)

    • 認識した要素を自然言語(テキスト)に変換(例:「赤い建物=博物館」)。

    • ただし、情報の変換が部分的に行われるため、全体の空間関係が捉えにくい。

  3. ルート計画(Route Planning)

    • 自然言語で記述されたランドマーク同士のつながりを元に経路を探索。

    • しかし、人間のように地図全体を俯瞰的に捉えることが難しく、部分的・局所的な推論にとどまる。

その結果、AIは人間に比べて非効率な経路を提案したり、道が存在しない誤った経路を提示することがあります。



人間とAIの地図認識能力の違い


ChatGPTに人とAIのジズ認識能力の違いを表にまとめてもらいました。結構違いますね。

項目

人間による地図認識

AI(LVLM)による地図認識

その他

視覚的記号の理解(Symbolic Recognition)

抽象的・直感的に認識可能。未知の記号も類推で理解可能。

学習したパターンに依存。未知・抽象的な記号を認識困難。

動物園地図においてAIは道がない場所をつなげたり、記号を誤認した。

空間関係の理解(Spatial Relationship)

俯瞰的に全体像を瞬時に理解可能。三次元的に把握可能。

局所的なランドマーク間の関係把握にとどまる。全体の空間構造の把握は困難。

AIは都市の地図で遠回りを提示したり、非効率な経路を選んだ。

経路計画の能力(Route Planning)

柔軟で合理的な経路選択。最短経路・迷いにくい経路を直感的に選択。

不合理で冗長な経路が多い。長距離の経路推論に弱い。

「博物館の非常出口」への経路で非合理的な経路を生成。

文脈的推論力(Contextual Reasoning)

経験や常識を用いて情報を補完し、未知の状況でも推測可能。

明示された情報に強く依存し、未知の情報補完は困難。

AIは示されていない地図の裏や隠れたルートを推測できない。

抽象的理解力(Abstract Understanding)

ピクセル(画素)レベルでなく概念レベルで理解。

ピクセル情報に依存。概念的理解が困難。

AIは記号を単なる画像として認識し、記号の「意味」までは解釈困難。

推論の一貫性(Consistency)

長距離推論でも一貫性を保ちやすい。途中の誤りがあっても修正可能。

長距離推論になると一貫性が崩れやすい。エラーが累積しやすい。

長距離の経路計画で、AIは途中で目的地を忘れたり混乱する。

柔軟な判断力(Flexible Decision)

状況に応じて柔軟な経路変更が可能。最適化が直感的に行える。

初期の経路判断に固執しやすく、柔軟な経路変更が困難。

AIは一度ルートを設定すると、不適切でも変更が難しい(テーマパーク地図)。



特に顕著な違い


文献内では、以下については特に顕著な違いが見られたとのことです。

  • 未知の記号への対応能力の差:AIは地図のデザインや記号表現が少し変わるだけでも大きく精度が落ちる。

  • 全体構造の認識力の差:人間は全体像を瞬間的に把握できるが、AIは部分的理解が多く全体の把握が難しい。

  • 経路計画の合理性の差:AIが提示したルートは、最適性において人間のものより大きく劣る傾向が強い。



なぜAIは地図把握に苦戦するのか?


万能に見られがちなAIですが、上記の通り、地図把握能力は人間とはだいぶ差があるようです。ではなぜAIはこれほどまでに苦戦するのでしょうか?

それについて文献では以下のように述べています。


AIが地図理解で苦戦する理由は主に次のような技術的課題に起因します

  • 視覚と言語のクロスモーダル不整合(Cross-modal misalignment)

    • 視覚情報と言語情報の結びつけが不完全であり、地図の抽象的・象徴的な情報を適切に処理するのが困難。

  • 長距離推論(Long-horizon reasoning)の難しさ

    • 複数ステップをまたぐような複雑な空間推論では、推論プロセスに一貫性が保てず、誤差が蓄積する傾向が強い。

  • 抽象的な空間理解の不足

    • AIモデルは地図をピクセル情報として認識することに特化しすぎており、抽象的な「距離感」や「方向感」などを十分に学習できていない。


つまり人間が漠然と把握して推論している部分については、まだ未熟な点が多いという状況のようですね。

この弱点を埋めるために、


  • AIにたいして、更に学習を強化したり、推論能力を強化する。

  • または既存のナビゲーションシステムと融合して精度を高める。 </aside>

といった方向性もあるのでしょうが、最終的に作りたいものによってそれは変わりそうですね。

早く人生迷ってる人向けのナビゲーションAI出ないかなぁ。では!



書き手


名前:Shindy Miyata

所属:SHARE Security

セキュリティエンジニア

 
 
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