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配送のラストワンマイルの計画はAI化出来るのか?:物流素人が考えてみた:2025/04/01

  • 執筆者の写真: 晋次 宮田
    晋次 宮田
  • 2025年4月1日
  • 読了時間: 5分

はじめに


みなさん、通販つかってますか?私はコロナ禍以降、ポチリグセが付いてしまい、困っています。東京を離れ、田舎に引っ越したということも相まって、もはやEC無しでは生きていけない体になってしまいました。。

ニュースでは、近年、ネット通販(EC)の普及によって荷物の配送量が劇的に増加したことや、働き方改革によって、物流業界は深刻な人手不足に直面し、配送を担うドライバーが足りない状況という話をよく聞きます。

特に「ラストワンマイル」と呼ばれる、物流の最終段階となる各家庭への配送部分が大きな負担とも聞きます。(不在配達申し訳ないです!)

おそらく物流業界のITスペシャリストの方々は、配送計画のAI化についてはガッツリ取り組んでいるのだろうと想定しています。

そんな中、面白い文献を見つけたので、物流素人の私がラストワンマイルのAI化の可能性について考えてみました(余計なお世話で済みません)



AIは「計画」が苦手


大規模言語モデル(LLM)は、文書生成や質問応答などの領域で鬼便利ですが、「計画作成」という領域では課題が多いです。

理由としては、計画立案という作業が膨大な可能性を含み、複数の不確定要素や状況変化を考慮する必要があるからです。

特にラストワンマイル配送では、以下のような複雑な要素が絡み合っているのだと思います。

  • 配達先の不在確率

  • 配達物の種類やサイズ

  • 道路から玄関までの距離や障害物

  • 不在時に隣人に預けられるか否か

※ぱっと考えただけでもたくさんあります。多分書ききれないぐらいあるのではないでしょうか?

これらをすべて数値化し、計画に落とし込むことは難しく、現状は配達員さんが経験に基づいたヒューリスティック(直感的な判断基準)をフル活用して配送してくれているのだと思います。(いつもありがとうございます!)



LLMによるヒューリスティック生成


そんな中、2025年3月24日に以下の文献が発表されました。



この研究では、大規模言語モデル(LLM)を使って、自動的に有効なヒューリスティック(目安となる判断基準)を生成し、それをAIの計画システムに組み込む手法を提案しています。

研究では、PDDL(Planning Domain Definition Language)という計画を記述する言語を使って「ブロック積み問題」を具体的に定義し、その問題を解決するためのヒューリスティックをLLMに生成させています。



ブロック積み問題の具体例


まず、以下のような状況を考えます。

  • 初期状態:テーブルの上にブロックAとBが並んでいる

  • 目標状態:ブロックAをブロックBの上に積む

この問題をPDDLという言語で記述し、LLMに「どんな状態が目標に近いか」をざっくり判断するヒューリスティックをPythonコードで生成させます。

state = {
    '(ontable A)',    # ブロックAはテーブルの上にある
    '(ontable B)',    # ブロックBはテーブルの上にある
    '(clear A)',      # ブロックAの上には何も乗っていない
    '(clear B)',      # ブロックBの上には何も乗っていない
    '(handempty)'     # ロボットの手は空いている(何も持っていない)
}

# 目標状態(ブロックAがブロックBの上に積まれている)
goal = {
    '(on A B)'
}

このようにして複数のヒューリスティックをLLMで生成し、実際に試行錯誤して最も効果的なものを選ぶ、という方法です。

この研究の優れた点は、複雑なドメインでもLLMが柔軟にヒューリスティックを生成し、効果的な計画探索を可能にすることを実証したことです。

簡単に言うと、

普段人間の中で自然と生成しているヒューリスティック(目安となる判断基準)をLLMで生成し、それを色々試し、有効なものを使う

ということになります。



成果


文献によると、

Blocksworld(ブロック積み問題:ブロックを目標の配置に積み直す問題)
Spanner(スパナ問題:スパナを使って複数のナットを締めたり緩めたりする作業の順序を決める問題) 

といった課題に対して従来のヒューリスティックでは解決できなかった難易度の高い問題が、LLM生成ヒューリスティックでは解けるようになったとのことです。頼もしいです。



物流のラストワンマイルへの応用可能性


さて、乱暴ですが、この手法をラストワンマイル配送に応用してみます。


  1. ラストワンマイル配送をPDDL形式で定義し、配送の基本動作を整理する。

  2. 小規模・大規模の配送問題例を作り、LLMに提供する。

  3. 配送に特化したヒューリスティック(例:不在確率や荷物の種類による配送難易度)をLLMに生成させる。

  4. 得られたヒューリスティックをもとにAIが基本的な配送ルートを作成し、人間が調整を行う。


ついつい4番で書いちゃいましたが、「人間の調整」は絶対に必要だと思います。しかし(素人ながら恐縮ですが)人間が持っている「経験に基づく判断」を一部でもAIに肩代わりさせることは可能な気はします。

例えば、普段配送ドライバーが自然と実施している「不在確率が高い家庭を後回しにする」という判断を、AIの生成したヒューリスティックが事前に示唆してくれれば、新人さんでも、時間の節約になるかもしれません。ただ、こういった事はすでに現場レベルでは伝言という形で継承されているとは思うので、そういう意味でもAI化に大幅な効率化は現状の技術では難しそう、というのが印象です。

ぶっちゃけ完全無人にして、家の前に来たら人が家から出てきて受け取るとか、宅配ボックスに突っ込んで返っていく、とかドローンで置いていく、ぐらい振り切っちゃったほうが効率的かもしれません。

ただしその場合、従来人が得ていた以下の様な情報は完全に抜け落ちます。

  • 田中さんの家は来月引っ越しらしい

  • 公園の横の家、売れたらしいぞ

  • 山田さん家の子がどーのこーの

これらの情報は配送業者さんが、配送を効率化するための情報というだけでなく、地域を見守る、という点でも重要な役割を担っているかもしれません。

つまりAI化が良いのか悪いのかは一概には言えないってことですね。

 
 
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